厚生労働科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業

難治性腎障害に関する調査研究

研究班の業績

<論文掲載>
「ネフローゼガイドラインワーキンググループ」

厚生労働科学研究費事業・難治性腎疾患に関する調査研究班(成田班)「ネフローゼガイドラインワーキンググループ」の実際の診療パターンの変動と日本におけるネフローゼ症候群の診療ガイドラインからの逸脱:認定腎臓専門医のアンケート調査臨床および実験腎臓学がClinical and Experimental Nephrologyに掲載されました。



ネフローゼ症候群ガイドラインワーキンググループで行った調査研究で、微小変化型ネフローゼ症候群や、膜性腎症などのネフローゼ症候群に関する診療のばらつきの実態を調べました。また、診療のばらつきを決定する、腎臓専門医の特性、施設の特性などを調べました。 本研究では、専門医が担当する症例数が多い場合、ステロイドの投与期間が長いことがわかりました。また、経験年数が長い場合、あるいは大学附属病院の場合、高齢者へのステロイドの減量投与が行われやすいことがわかりました。 専門医の回答割合が低かったため、今後はより代表性のあるサンプリングで検証することが望まれます。

<論文掲載>
「IgA腎症ワーキンググループ」

厚生労働科学研究費事業・難治性腎疾患に関する調査研究班(成田班)「IgA腎症ワーキンググループ」の国際共同研究によるIgA腎症の予後予測モデルに関する論文がJAMA Internal Medicineに掲載されました。


<論題>Evaluating a New International Risk-Prediction Tool in IgA Nephropathy

<著者>Barbour SJ, Coppo R, Zhang H, Liu ZH, Suzuki Y, Matsuzaki K, Katafuchi R, Er L, Espino-Hernandez G, Kim SJ, Reich HN, Feehally J, Cattran DC; International IgA Nephropathy Network.

<雑誌>JAMA Intern Med. 2019 Apr 13. doi: 10.1001/jamainternmed.2019.0600.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30980653


2015年4月にDaniel C. Cattranらによって、Oxford分類を元にした予後予測モデルを構築し検証を行なうことを目的とし、厚生労働科学研究費事業・難治性腎疾患に関する調査研究班「IgA腎症ワーキンググループ」との国際共同研究(IgA Nephropathy Global Template)が開始されました。本研究には既に発表された研究の対象者を含む多人種かつ様々な治療が行われたIgA腎症患者4,631例が登録されており、本邦からもIgA腎症ワーキンググループを中心に合計8施設からレジストリー全体の約30%にあたる1,337例が登録されています。 今回の研究では、レジストリに登録された症例から包含基準・除外基準を適応して抽出された2,781例(derivation cohort)を対象とした解析により、腎生検時の年齢、eGFR、血圧(MAP)、尿蛋白、Oxford分類(MEST score)、内服薬(RAS阻害薬,免疫抑制薬)使用の有無、人種(Caucasian, Japanese, Chinese)を変数として用い、腎生検から5年後の50%のeGFR減少を予測する式を算出しました(C statistic 0.82, 95% CI 0.81 to 0.82)。同様に抽出された1,146例(validation cohort)を用いた検証においてもほぼ同様の結果が得られ、予測式の外的妥当性が裏付けられています。 本研究の特徴は、既存のコホート研究の集積に加えて新規症例の登録を行い、多民族・多国家から様々な治療法が選択された対象者を含み、高い外的妥当性を担保した点にあります。このため、結果は広く活用可能であり、本邦におけるIgA腎症における治療方針の決定や臨床試験のデザインにも有用であると考えられます。

<論文掲載>
「IgA腎症ワーキンググループ」

「IgA腎症の扁摘と腎予後との関連性に関する多施設共同研究が JAMA Network Open に掲載されました」


<論題>Association Between Tonsillectomy and Outcomes in Patients With Immunoglobulin A Nephropathy

<著者>Hirano K, Matsuzaki K, Yasuda T, Nishikawa M, Yasuda Y, Koike K, Maruyama S, Yokoo T, Matsuo S, Kawamura T, Suzuki Y

<雑誌>JAMA Network Open 2019 2(5):e194772. doi: 10.1001/jamanetworkopen.2019.4772.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31150076


2014年に厚生労働科学研究費事業・難治性腎疾患に関する調査研究班「IgA腎症ワーキンググループ」は、ステロイドパルス療法に扁桃摘出術(扁摘)を併用すると治療後1年間の蛋白尿がステロイドパルス単独療法に比べて有意に減少することを無作為比較試験で示しました。しかしながら、この研究は小規模・短期観察デザインであったため、大規模・長期観察で扁摘と腎機能予後との関連を検証することが求められました。今回、IgA腎症ワーキンググループは全国42の多施設で2002年~2004年に発症したIgA腎症1,065例を対象に扁摘と腎予後との関連性に関する観察研究(JNR-IgAN;Japanese Nationwide Retrospective study in IgA Nephropathy)を発表しました。年齢、性、腎機能、蛋白尿、血尿、レニン・アンジオテンシン系阻害薬、そしてステロイド治療などの背景因子をマッチングさせた解析において、扁摘の血清クレアチニン値1.5倍化に対するハザード比は0.34 (95%CI 0.13-0.77, P=0.009)であり、腎予後に対して良好な関連を示していました。この「扁摘と良好な腎予後との関係」は、腎機能、蛋白尿、血尿、RAS阻害薬、そしてステロイド療法による層別解析でも確認されました。 IgA腎症の治療はSite Specific Strategy の時代に入り、2017年には腸管選択的ステロイド薬のIgA腎症における短期的抗蛋白尿効果が欧州の無作為比較試験 (NEFIGAN study )で示されました。また、本邦を含めた国際的基礎研究から、扁桃を含む免疫系の糖鎖異常IgA分子がIgA腎症の発症と進展に関わることが明らかにされています。JNR-IgANはIgA腎症の遺伝子リスクの高い東アジアから発せられた知見として、今後の実臨床に寄与するものと考えられます。

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